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『昭和二十一年八月の絵日記』

2020.07.29

施設ブログ

『昭和二十一年八月の絵日記』

この本に出会ったのは、毎月発行しているカレンダーの歳時記に、何かいいテーマはないかと探していた時でした。

当時、小学五年生だった著者の山中和子さんが、夏休みに書いた絵日記がそのまま本になったもので、その丁寧に描かれた絵とともに美しい文字や言葉遣いなどは、目を見張るものがあり、さっそく記事で紹介することにしました。

 

敗戦から一年。子どもの目から見た当時の人々の暮らし。そのリアルに表現された貴重な資料ともいえるその絵日記は、同世代のご入居者にとっても、特別な想いが込み上げてくるのではないでしょうか。

ノートいっぱいに描かれた「青瓜」や「かぼちゃ」など、食べ物の話題が多く出て来るのも、まだまだ食糧事情が乏しい時代に感じた子どもの素直な気持ちだったのでしょう。(NHKの「朝イチ」で「戦争と食」をテーマに取り上げた際、本書も紹介されています。)

神戸出身で学童疎開を経験したあと、伊丹市に住みながら母校の高羽小学校に通っていた著者。(都会からの疎開で周りから偏見の目で見られ辛い経験をした結果、越境通学していた)日記の中には「阪急百貨店」「西宮北口の映画館」「神戸元町」など、馴染みのある地名も頻出しています。

この本を紹介するため展示した際、写真に写るK様が、当時の学童疎開の事などをお話下さいました。幼いながらも当時の事を鮮明に覚えておられ、特に「(辛いこと)はあったけれど、親にはそのことを言わなかったの。言えなかった。」・・・・・と子供心に心を砕き、懸命に生きていたその姿を思い、胸が熱くなりました。

また、「もうこの頃は、兵隊に行っていたな~」と言われるご入居者さま・・・

昭和二十一年当時の皆さまのそれぞれの想い出を呼び起こした本だったかもしれません。

この本は、八月に開催する~大人も感動~『絵本の世界』にも展示、ゆっくりお読みいただこうと思っています。

また解説は、養老孟司氏が言葉を寄せています。

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